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川上正浩ブログ

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縦読を考える(3)

 遠隔授業についての先々回のブログ(「遠隔が始まる」)で,焼肉の名店の例えを書いたのであるが,実は友人から,こんな写真が届いたのである(情報保護のため,部分のみ)。

スクリーンショット 2020-05-22 19.10.46.png


 どう見ても「おちりきす」であるが,当然ながら「おちりきす」ではないだろう。
 ちょうど,授業の中で,「人間のエラーには理由があり,エラーのパターンから人間の行動は分析できる」と豪語(豪書?)したところであったので,どうしてもこの謎に挑まなければならない。
 言わずもがなであるが,「なぜ縦書きなのか」という謎に,である。
 つまりは,これ,通常なら横書きが妥当であることに議論の余地はないだろう。
 実は友人からこの写真が送られてきたのは二週間以上前なのであるが(Y川先生,すみません),なかなか解釈ができずに,今日に至っているのである。

 順に考えていこう。
 順に,である。
 つまり,認知心理学者らしく,行動の系列をコンポーネントとして考え,これをトレースしていく必要がある。

 まずは。
 「お持ち帰りできます!」に対応する一文字ずつのパネルが作成されたのであろう。
 これは受け入れて良い仮説であると思われる。
 そして,これを貼り付けていく。
 ここで,まずは「お持ち帰りできます!」の「お」が貼り付けられる。
 これも比較的受け入れることに抵抗のない仮説である。
 「頭から」というのは一番無理のないやり方である。
 「お」が貼られた。
 次。
 次は「持」を貼ることになるだろう。
 まず,「お」が貼られたということを受け入れるならば,これも受け入れやすい仮説である。
 逆に言えば,最初に「お」が貼られた,という仮説と,ほとんどセットの仮説と言って良い。
 そして,結果と照らし合わせて考えるならば,「持」は「お」の下に貼られているわけであり,この段階で,既に,縦書きが選択されていたと推測することができる。
 で,である。
 そこまでは良いとして,ではなぜ,「ち」が「持」の下ではなく,「お」の右に貼られたのか,である。
 つまり,この段階で,何らかのアクシデントが起こり,「持」の下に,「ち」が貼られなかった,と考えることが一番事態と整合するように思われる。
 あ。
 写真をよく見ると,「持」の下に枠としての横棒が見える。
 この横棒より下の部分,ひょっとすると,扉の役割をしている部分なのではあるまいか。
 そして,パネルを貼り付けていた人も,このことに,この段階で気づいたのではあるまいか。
 つまり,「持」までは貼ってしまった段階で,「これ以降,下には貼らない方がベター」ということに気づき,現状をキープしたままでそのルールに従う結果として,今回の貼り方がなされたのではないだろうか。
 以上が,2週間かけての川上の推測,である。
 仮説その1は,最初はずっと縦書きにするつもりであった,であり,そうでなければ,「持」が「お」の下に貼られていることが説明できない。
 仮説その2は,「持」を貼った時点で,「下はダメ」とのルールが追加された,であり,そうでなければ,「ち」が「お」の右に貼られていることが説明できない。
 もちろん,全てを覆す,「これが一番読みやすいと考えられていた」という仮説がないではないが,ノーマンを敬愛する認知心理学者としては,それは流石に飲むことができない。

 ということで,頑張ってみましたが,Y川先生,いかがでしょうか?
 お気に召していただけましたか?って話ですけど。

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