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川上正浩ブログ

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循環をさせるべし(2)

 先回のブログ「循環をさせるべし」では,一応言語心理系の学者だ,ということで話を締めさせていただいたのであるが,やはり言語の問題は気になるのである。
 たとえば,告白することを「告る」というようになったのは,いつくらいだったろうか。
 川上としては随分と衝撃的で(その割に「いつくらいだったろうか」みたいな曖昧なことで恐縮だが),あーそんな風に省略するのかと感じたのだが(なんと2014年にも「告白と同じかと思う」というブログも書いているのである),落ち着いてみると(?),日本語の略し方としては,そんなに奇異でもないような気がしてきた。

 たとえば「だべる」という表現も,元々は「駄弁」という名詞から来ている。
 今回ちょっと調べてみたら,この表現も明治時代に使われ始めた,とのことであったから,いわゆる「現代的」な略し方という程でもなさそうだ。
 もっと古くからあるのは「ぐれる」という表現で,これは江戸時代の表現だとのことである。
 しかも「ぐれる」はもっと複雑で,元々の名詞は「ぐれはま」。
 「ぐれはま」る,から「ぐれる」になったわけだ。
 じゃぁその「ぐれはま」とは何かということになろうが,これは「ぐりはま」が訛ったものだとのこと。
 じゃぁその「ぐりはま」とは何かということになろうが,これは「はまぐり」をひっくり返したもの。
 業界用語っぽいのである。
 やっと意味がわかるようになってきたが,「はまぐり」と「ぐれる」はまだかなり遠いかもしれない。
 結論的に言えば,はまぐりは,ペアになっている殻以外とはぴったりと形が合わない(だからトランプの「神経衰弱」みたいな優雅な遊びである「貝合わせ」が生まれたり,あるいは,夫婦和合のシンボルとされたりするわけだが)ことから,これをひっくり返して「物事が食い違う」ことを表現していたとのこと。
 「何もかもぐりはまになる」なんて使い方がされていたようだ。
 これがさらに転じて,「道を外す」ことを意味するようになって「ぐれる」という表現になったわけだ。
 思えば長い道のりで,「はまぐり」から「ぐれる」に,意味も音も遠くまで来たものである。
 そして,明治時代に,この「ぐれる」という言葉をベースにして,「愚連隊」と名乗る集団が出て来る。
 ウィキペディアによれば,愚連隊は,「繁華街で違法行為や暴力行為を働く不良青少年集団」とのことであるが,そうであれば確かに道を大きく外しているだろう。
 さらに最近では,これもウィキペディアによれば,「暴力団に所属せずに犯罪を繰り返す集団」として「半グレ」集団という表現が使われるようになっている。
 あれ?,なんかこうなって来ると,また「ハマグリ」の音に近づいているような気がするなぁ。
 もちろんたまたまであるけれど。
 ただし,どうも「半グレ」の「グレ」には「グレー」すなわち「グレーゾーン」の意味もあるとのことで(でもそうだとすると「半」と意味が被るような気もするのだが),中々に言語は複雑で,だからこそやっぱり面白い。
 なんか話が循環しているような気もするが,そこは Recycle or DIE ってことで。
 一応言語心理系の学者なので,って話ですけど。

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