某所のゴミ捨て場で貼り紙を見た。
そこは,“燃えるゴミ”や“不燃ゴミ”,あるいは“コピー用紙”(どういう業界か丸わかりであるかもしれないが)等を分別して出す場所であったのだが,その貼り紙に曰く,
「分別のできない人は,ここにゴミを出さないで下さい。」
潔い貼り紙である。
「借りた金を返さないのは泥棒です。」という,段ボールに書いてアパートのドアに張られた金融業者の貼り紙クラスの(まぁどの軸で評価するかにもよるが)貼り紙であると思う。
さらに言えば,「分別のできない」という表現は,「分別のない」という意味を潜在的に活性化させることで,違反者に与える精神的なダメージを大きくする効果を持っているのではないかと穿った見方もしてしまう。
そう思うと貼り紙にもいろんなタイプがあるなぁと,改めて思いを馳せた。
「ここは禁煙です」(事実呈示系)
「ここに車を駐めないで下さい」(依頼系)
「入ルナ」(恫喝系)
「いつもトイレを綺麗に使っていただきありがとうございます」(ほめ殺し系)
「よい子はここで遊ばない」(三段論法系)
「ボクは自分で糞を持って帰れないワン」(ファンタジー系)
「分別のできない人は分別の無い人です」(ダジャレ系)
「部外者以外の立ち入りを禁止します」(天然系)
もっといろいろとあるかもしれないが(というより,こういう羅列型の挙げ方はシステマティックでないのであまり好きではないのだが),とりあえずこの辺にして。
この辺りも,もう少しシステマティックに考えていくとおもしろそうである。
で,こうしたことに思いを馳せていたら,これまた某所で読んだ,子どもの“おねだり”の7つのタイプというのを思い出した。
曰く,
1.嘆願(要求をかなえることをお願いする)
2.固執(要求をかなえるよう繰り返し訴える)
3.強気(要求をかなえるには他の手段もあることを訴える)
4.示威(要求をかなえられない自分を公の場でアピールする)
5.おべっか(要求をかなえてくれる相手は素晴らしいと訴える)
6.脅し(要求をかなえられなければ相手はひどいことになると訴える)
7.同情(要求をかなえられない自分がかわいそうであることを訴える)
の7つがあるそうである。
これもまたシステマティックでないので,何というか整理された気にならないのが残念であるが,どれもこれもなるほどと思われるものであるのは確かである。
先ほどから,システマティックである云々と言っている意味がわかりにくいかもしれないので補足しておくと,ここで言っているシステマティック,というのは軸が仮定されて“全事象”がその軸によって分割された世界の中に存在していることを指しているつもりである。
うーん,説明したつもりがかえってわかりにくくなってしまったかもしれない。
たとえば,先ほどの貼り紙について言えば,「上から言うか,下から言うか」というような軸を想定すれば,世の中の貼り紙は,「上からものを言っている貼り紙」と「下からものを言っている貼り紙」の2つに(あるいは「そのどちらでもない」を含めた3つに)分類することが可能となろう。
こうしたレトリックは,「世の中にはAと非Aの2種類の人間がいる」といった形で,まさにレトリックとして用いられることが多いけれども,世の中を“分ける”という意味では,有効なツールになる考え方であると思う。
ということで,貼り紙に思いを馳せていたはずが,いつの間にやら世の中を“分ける”話になってしまった。
これ以上展開して,読者を混乱させるようなことはしたくないという分別はあるつもりなので,ここではこれ以上展開しない。
しかし,くどいようだが,世の中(これは適切なサイズの部分集合を指す場合も同様だが)を“分ける”ことによって理解する(なにしろ“わかる”の語源は“わける”だと言われているのだ)際に,“軸”を設定するやり口は有効である。
特に心理学を学ぶ人たちにとっては,身につけていただきたい考え方の1つであると個人的には信じている。
ということで,オチがない割に結構長くなってしまったって話ですけど。
コメント (3)
「すべての人間は2種類に分けられる。・・・」ってのありましたね。
今回の場合だと、
「分けることがわかる者と、分けることがわからない者だ」
みたいな感じですかね?
失礼しました~。
投稿者: た | 2009年7月28日 12:42
日時: 2009年7月28日 12:42
今回の川上先生のブログのタイトルを読む時、「分別」を「ぶんべつ」と読むか「ふんべつ」と
読むか、迷いました。
「分別のできない人は,ここにゴミを出さないで下さい。」とは、確かに面白い表現ですね(^u^)
違反者に与える精神的なダメージを大きくする効果を持っているという点は、非常に良いと
思います(*^_^*)ですが、このような違反者には、こういう張り紙の意味が解るのでしょうか?
違反をするくらいですから、精神的なダメージがないかもしれませんね。。。残念ながら。。。
あと、川上先生が書いておられた、“「いつもトイレを綺麗に使っていただきありがとうございます」
(ほめ殺し系)”と“「分別のできない人は分別の無い人です」(ダジャレ系)”は、
すごくウケましたね(#^.^#)笑
「ほめ殺し系」って何!?という感じですけども、ここが笑いのツボでしたね(●^o^●)
川上先生のことが好きな死神より
投稿者: 死神 | 2009年7月28日 20:30
日時: 2009年7月28日 20:30
コメントありがとうございます。
まぁ,研究者というのは,何でもかんでも分けたがる人種であると
思います。そして,それに「ピッタリした」と思える名前を付けたがる
人種でもあると思います。
とある,「まるでお人形さんのような」研究者の方からもメールでこの
ブログへの感想をいただきました。
「英語の場合は,No SmokingやNo Trespassing等々,禁止ばっかりを
よく見るけど…」といった内容でしたが,さらに言えば,研究者は,
比較したがる人種でもあると思います。
まったくどうでもよいですが,「No Smoking」というのを見るたびに,
心の中で「横綱お断り」と勝手に訳してしまって,勝手にほくそ笑んで
しまいます。
投稿者: 川上 | 2009年7月30日 22:15
日時: 2009年7月30日 22:15