USBというと何を指すのか,というのが,ここでの問題提起である(もうこうなるとブログなんだか何なんだかよくわからない)。
皆さんも「ちょっとそこのUSB取って!」とか「誰かUSB持ってない?」などという会話をしたことがあるのではないかと思うが,そもそもUSBというのは接続の形式あるいは規格を指す用語であり,Universal Serial Busというのがその正式名称である。
せいぜいUSBといって言及できるのはパソコンなどに装備されているそのコネクタまでであると思う。
これはUSB(接続)システムを実現している機器(パーツ)である,という点で,“USB”と呼ばれても,そんなに文句はない。
ちょっと話が逸れるが(いつものことであるが),以前,ATOKだったと思うがFEP(Front End Processer)の辞書を調べていて(もちろん日本語表記研究のためである),“電話”という言葉の扱いでひっかかった覚えがある。どうやら“電話”という言葉そのものは,その“システム”を表す言葉であり,我々が“電話”と呼んでいるあの機械は“電話機”とか“送話器”とか“受話器”とか“送受器”とかと表現されるべきであるようなのだ(現状では“電話”という言葉の辞書的な意味として“電話機”を含むという記述が認められるが)。これは,たとえば“印刷”と“印刷機”の関係に等しいのかもしれない。
印刷というシステムを実現する機械が印刷機であるのと同様に,電話というシステムを実現する機械が電話機であるのだ。この辺りは馬が鯨でないのと同様である(ちょっと何言ってるのかわからないかもしれないが)。
もちろん,印刷というシステムあるいは機能は,印刷機単体で実現できるものであるが,電話というシステムあるいは機能は,目の前の電話機だけで実現できるものではない。
その辺りの違いが用語の使用にどの程度あるいはどのように影響を与えたのかは定かではないが。
ともあれ,話を戻すと,USBについても,SCSI(スカジー)などと同じように,接続システムであると同時にそれを実現するコネクタ(いわゆる口)を指すということまでは許容範囲だろう。
が,これはちょっと取ったりできるようなものではないし,誰かにそのコネクタが付いているとも思えないので,誰かに取ってもらったり,誰かが持っていたりするようなものではない。
つまり,我々が,「ちょっとそこのUSB取って!」とか「誰かUSB持ってない?」などという時の“USB”というのは,往々にして,USB(フラッシュ)メモリと呼ばれる,USBの接続形態を用いた記憶メディアを指しているのである。
USB接続の機器はたくさんある。
最近はマウスだってそうだし,フロッピーディスクのドライブ(これは逆に今更使わないかも知れないが),あるいはiPodやデジカメもUSB接続する。
そうした中で,なぜUSB(フラッシュ)メモリ(のみ)が,“USB”と呼ばれるのか。
可能性は3つある(と言い切るとなんだかわかった風であるが,要するに3つ思いついた,ということである)。
可能性その1。USB(フラッシュ)メモリは,その名称冒頭にUSBと入っているので,USB(フラッシュ)メモリを“USB”と呼ぶのは単なる略称である(これは携帯電話を“携帯(ケータイ)”と呼ぶのと同じである)。
可能性その2。マウス等の機器は,USBという規格が登場する以前から存在したが,USB(フラッシュ)メモリは,そのコンセプト自体がUSBという接続規格に依存する部分が大きい(つまりUSBという接続規格に随伴して発生した)ため,“USB”と呼ばれる。
可能性その3。一般の人が(意識化して)USB接続で使う機器の中で,USBフラッシュメモリが最もメジャーであるため,“USB”と言えば,USBフラッシュメモリを指す。
例によって,どれが正しいとここで結論づけるつもりはない。
強いて言えば「なんでこいつだけが“USB”って呼ばれるかなぁ」と思った,というのがブログ的な内容ということになろうか。
もちろんこうした問いを立てるに当たっては,先ほどから書いているように「USB(フラッシュ)メモリは,“USB”と呼ばれるが,それ以外のUSB接続機器は“USB”と呼ばれない」という現象が確認されないといけない。
皆さん,どうですかね。
結局は丸投げかいっ!って話ですけど。
コメント (5)
可能性その4。「え~,“USB”って正式にはUSBフラッシュメモリって言うんですかぁ?しかもUniversal Serial Busなんていう難しい英語の略なんですかぁ?みんな,USBとかUSBメモリと言ってるから,なんか“うちでも外でも便利なメモリ”とかのKY語かなぁと思ってた。」
投稿者: hatemasu | 2008年9月12日 22:10
日時: 2008年9月12日 22:10
それいただきですね。確かに,ほとんどの人にとっては,
USBはUSBであって,Universal Serial Busなんかではないですよね。
さぁ,皆さん,可能性その5は?
投稿者: 川上 | 2008年9月13日 09:21
日時: 2008年9月13日 09:21
呼ばれたような気がしたので.
可能性その5.
あれは,短縮語なのです.「ゆーえすびーふらっしゅめもりー」は,呼ぶには長すぎます.でも「Uメモ」では「メモ?え?どれ??」とか混乱を来たしそうです.「US」では特定の国の話が始ったのか?と誤解されそうですし,「メモリ」では「あ?目盛?定規??」とコレマタ混乱を来たします.「いやいや,メモリー」といわれたら,頭の中で猫が高らかに歌い上げそうです.そういう訳で,頭の部分のみを利用しているのです.認知心理学を研究している人を指して,認知の人というのと同様か(ホントか?!)と.
投稿者: F | 2008年9月16日 11:09
日時: 2008年9月16日 11:09
訂正.
それは,先生の可能性その1でしたね.
以下,可能性その5.
大きさが呼び名を規定したっちゅうのはどうでしょう.
USB接続をするそのほかの機器は,その形態からの機能の主張が明示的.マウスも,プリンタも,テンキーも,つなぎ方よりも機器の方がきちんと主張しています.コネクタからも一定の距離があります.が,USBメモリは,コネクタにへばり付いたちっこいナニカ,です.マウスの接続部分とそんなに大きさ変わりません.なんだか接続部分だけみたいです.
という訳で,接続方法のみで呼ばれちゃうんです.
ちなみに,USBキーが,USBメモリーとほぼ同じサイズ,形態なのに,USBと略されないのは,市場への進出が後発だったことと普及の程度の違いです………と言いきれるほど確かなことを知っている訳ではありません.
投稿者: F | 2008年9月16日 11:31
日時: 2008年9月16日 11:31
なるほど。接続部分との一体感とその大きさ,ということ
ですかね。それは確かにありそうです。
てか,個人的には「猫が高らかに歌い上げそうです」ってところが
一番お気に入りです。
投稿者: 川上 | 2008年9月16日 23:20
日時: 2008年9月16日 23:20